矯正相談でレントゲンを撮ることはある?
熟練した矯正の専門家は、患者さんの口腔内を見ただけでほとんど診断がついています。そのため、レントゲンを見なくても大体の状況は把握できるので基本的に相談時にレントゲンを撮る事はありません。
目次
1. 矯正相談では何をするの?
矯正相談では、基本的に歯医者が患者さんの口腔内を確認し、患者さんが気になっている事を聞き出したり、どこを治してどのような歯並びになりたいのかを話し合う目的で行われます。相談を無料で行う歯医者もありますが、相談費として3000〜5000円ほどかかる歯医者もあります。熟練した矯正の専門家は、患者さんの口腔内を見ただけでほとんど診断がついています。そのため、レントゲンを見なくても大体の状況は把握できるので基本的に相談時にレントゲンを撮る事はありません。相談をした上で実際に治療を開始したい、という患者さんには精密検査を行い、相談時に確認した口腔内の状況把握が正しいかどうかの確認と、肉眼で見ただけではわからない細かい点の確認をするためにレントゲン撮影が必要になります。
2. 相談時にレントゲンを撮る場合
それでも相談時にレントゲンを撮る歯医者が存在するのは、もしかしたら契約を早く決めるための戦略かもしれません。または、まだ矯正治療に関しての経験が浅く、レントゲンを撮影をする事でしっかりとした状況把握をしている可能性があります。レントゲン撮影をする方が、患者さん自身も「この歯医者はしっかり見てくれてる」と思いますので歯医者への信頼度が上がります。しかし、先ほども述べたように熟練した矯正医であればレントゲンを見なくても大体の状況は把握できるのでこの部分に関しては患者さんの判断になります。いずれにしても、レントゲン撮影をする事で患者さんは微量の放射線を浴びてしまいます。矯正相談に何ヵ所も行く事で自分に合う矯正歯科を見つける患者さんも大勢いらっしゃいますので、どの医院でも相談時にレントゲン撮影をするようになると、短期間に相当な放射線を浴びる事になってしまいます。そのため、基本的にはレントゲン撮影は精密検査時のみに行うのが理想的でしょう。
3. 歯科用レントゲンの被曝量
では、歯科で実際に使用されるレントゲンの被曝量は一体どれくらいなのでしょうか。
歯科治療時に撮影されるデンタルX線と呼ばれる小さなレントゲン写真1枚の放射線の量は「0.01ミリシーベルト」程度です。 顎全体が撮影できるパノラマX線撮影は「約0.03ミリシーベルト」程度で、これは自然放射線1年分に比べて極めて少ない値です。わかりやすい例で比較すると、東京/ニューヨーク間の飛行機1往復が「約0.2ミリシーベルト」程度なので歯科用レントゲンの被曝量は少ない数値である事がわかります。X線写真から得られる情報は歯科治療において不可欠なものですし、被曝量も決して多くはないのであまり怖がる必要はありませんが、あまりにも短期間に何度もレントゲン撮影をしてしまうのは良くないでしょう。
4. レントゲンで何がわかる?
矯正を始める際のレントゲンは、一体何を確認するために撮るのでしょうか。
4-1.虫歯・歯周病の状況
まず、大まかに虫歯の有無や歯を支える骨の状態(歯周病の有無)を確認します。虫歯は細かい部分がはっきりと写らない事があるので、その場合はデンタルX線と呼ばれる小さなレントゲン写真を追加で撮影します。
4-2.歯の本数
稀に、歯の本数が足りなかったり(先天欠如歯)、多かったり(過剰歯)する方がいます。このような歯がある場合は抜歯部位や治療方針に影響が出る場合があります。
4-3.歯の状態
治療済みの歯は、被せ物の中で虫歯が進行していたり、根っこの先で炎症が起きていたりする事があります。最悪の場合、抜歯せざるを得ない場合もありますので治療済みの歯の確認にはレントゲン撮影が重要になります。また、親知らずの有無や、方向なども確認する事ができるので今後抜歯が必要かどうか、親知らずも治療に関与してくるのかを事前に相談する事ができます。
4-4.永久歯の確認
お子さんの場合はこれから生えてくる永久歯の状態を確認する事ができます。永久歯の位置や、方向などに問題がある場合は、治療がスムーズに行えない可能性があります。
4-5.その他
他にも顎関節の状態や、上顎洞と呼ばれる上顎の骨の中にある空洞の形態、骨の中に石灰化物や腫瘤などが見つかる場合があります。この場合は口腔外科で詳細な検査を受けていただく必要があります。他にもレントゲン撮影によって唾石や骨の異常が見つかる事もありますので、肉眼では確認できない情報をたくさん得る事ができるのです。
5. 相談時にレントゲンを撮る事が良い訳ではない
患者さんにとっては相談の時点でレントゲン撮影をしてもらえると、歯医者に対しての信頼度が上がりこの歯医者で矯正治療をお願いしようと思うかもしれません。しかし、それは歯医者の戦略かもしれません。熟練した技術を持つ矯正歯科医であればレントゲンを撮らなくても大体の状況を把握できるので、純粋に歯医者の好意でレントゲン撮影をしてくださっている場合もありますが、相談時にレントゲンも何枚も撮られる場合は疑問を持った方がいいかもしれません。本来は、矯正相談で行われる事は口腔内の確認と相談が基本です。